聖ウルスラ修道会は、1535年北イタリアのブレッシアで聖アンジェラ・メリチによって創立されました。
当時のヨーロッパはヒューマニズムを謳歌する反面、貧困、絶え間ない戦乱、思想的混乱、そこから生じる道徳的感覚の低下など悲惨に満ちており、社会階層は厳しく分けられ、女性の地位も非常に低いものでした。そのような社会の中で聖アンジェラは女性の地位の向上を強く望んでいました。彼女は社会の中で女性の果たす役割の重要性について深い洞察がなされていました。
当時、修道生活を望んでいても、貧しさや家庭の事情で思いとどまらざるを得ない女性たちが非常に多かったのです。聖アンジェラはこのような女性たちが家庭にとどまりながらしかもイエス・キリストに徹底的に自己を奉献して生きるという、当時の社会にはなかった、まったく新しい独創的な形の修道生活を考えたのです。
聖アンジェラは40年という長い祈りと熟慮の後、思いを同じくする28名の女性たちと共に会を創立したのです。彼女が65歳頃の時でした。
現在の聖ウルスラ修道会は、当時とは形は少し変わっていますが、内的生活を大切にしながら、観想の中で、イエス・キリストとの深い交わりの恵みの実りを、人々への奉仕に捧げるという聖アンジェラの生き方は変わることなく受け継がれています。