私はこの会で今、年だけは最高齢者です。共同体のシスターズに温かく見守られ、寂しさを感ずることもなく、共に祈り、話し、簡単な仕事等をして日々を感謝で過ごしています。
二十歳位に洗礼を受けました。その頃は戦後で、衣食住は乏しく、社会は荒廃し、心身は衰え、何の娯楽も慰めもなく、今のようなテレビ、携帯、パソコン等は考えも及ばない時代で、唯一の情報と楽しみは家にあるラジオだけでした。そのラジオから時々流れる讃美歌に心は和み、癒され、また通勤途上の額縁店に飾ってある聖母子の絵のマリア様のまなざしに心が惹かれていました。何か語られているような気がして・・・。マリア様のことはほとんど何も知りませんでしたが。
その頃、職場で何人か教会に行っていることを知りました。その中の一人が話を聴いてくれ、親切に教えてくださり、そして紹介・案内をされたのが仙台の聖ウルスラ修道院でした。そこに現れた黒衣の修道女の姿を初めて眼にして驚き、温かい言葉と応対に憧れは心いっぱいになり、「私もいつかこのような人になりたい」と決めました。
いろいろな障害を乗り越えて入会を許可されましたが、指導者の修練長は、以前初めて出会ったあのシスターで、神様の計らいに感動しました。母の様な愛の心と、ある時は手厳しく修道生活の根本を教えられ、導かれました。28年前に亡くなりましたが、今でも霊的母で、折ある毎に導きを実感しています。
今、入会六十有余年を経て、朝夕に心に響いている聖書の御言葉があります。
「あなたがわたしを選んだのではなく、私があなたを選んだのである。」
神様の計らいに、ただ頭を下げるばかりです。
聖ウルスラ修道会 Sr.N.S