エピソード

★ エピソード 1 ★   「 園長先生の耳 」
「えんちょうせんせい・・・えんちょうせんせい!!」と子どもの呼ぶ声。園長先生は何かに夢中になっているらしくまったく聞こえていない。すると、他の子が、「園長先生はね、耳がないんだよ!・・・わたし一生懸命見たんだけど、耳は見えなかったもん」。
以来、子どもたちの間には、園長先生には耳がないという噂が流れた。
数日後、プール遊びの時間、園長先生は、水着姿で子どもたちの前に現れた。もちろんベールもはずしている。
「あっ!! 園長先生の耳があった」「よかったねェ!!」

★エピソード 2 ★   「 ペンギン 」

聖ウルスラ会の制服は、何回かの変更があり、今の姿になっているが、昔の修道服はかなり窮屈そうだった。それでも、子どもたちと一緒に走ったり遊んだりしていたのだから、たいしたものだと思う。
夕方になると、シスターたちが2、3人横に並んで、校庭を行ったり来たりしながらロザリオを唱えている姿が見られた。それはまるで、ペンギンの散歩のようである。誰言うとなく、その修道服にはペンギンのあだ名がついた。

★エピソード 3 ★  「 婦人の婦の字は 女へんに帚と書きます 」

仙台における聖ウルスラ学院の創始者ヨアンナ様(S.スザンナ・マルテン)は、中高等学校の初代校長であった。生徒数も、先生の数も少なく、学校の中には家族的な安らぎがあった。
校舎もまだ新しく、女子校ということもあって、学校の中はピカピカしていて、はだしで歩いても足が汚れないほどきれいだった。
ヨハンナ様は、多忙な中にもちょっとした時間を見つけては、よく帚を持って学校の掃除をしていた。
そんな姿を見たある男の先生が、びっくりして、「校長先生が掃除をするんですか?」と声をかけた。
ヨハンナ様は、平然として、「そうですよ、婦人の婦の字は 女へんに帚と書きます」と。家庭の中で、賢く自立した婦人を育てるという聖アンジェラの願いを、具体的な目に見える形で示そうとされていたのでしょうか。
家事も、子育ても夫婦で平等に・・・なんて世の中がこようとはヨハンナ様も予想だにしなかったでしょうね。
男へんに帚と書いたらデンキソウジキとでも読むのかな?

★エピソード 4 ★  「 バラは一日で咲かない!」

S.テレーズ・ガニエは、いつも元気良く、ニコニコしながら学校の中を闊歩していた。彼女は、バラの花がことのほか大好きで、当時はやっていた「バラが咲いた、バラが咲いた、真っ赤なバラが・・・」の歌も大好きで、よく口ずさんでいた。
日中は子どもたちに英語を教え、夜は、父兄たちに、英語と宗教を教えるという熱血先生でもあった。
子どもたちからも、父兄からも、先生達からも慕われていた。
ある日、若い先生が、彼女に悩みを打ち明けて、助言を求めた。
それは、「自分の教師としての力量に限界を感じ、クラスの子どもたちが勉強の面でも、精神的な面でも思うように伸びない。とてもあせっている」というものでした。
彼女は、その先生の顔を見て、ニコッとほほえみ、ひとことだけ言った。
「先生! バラは一日では咲きませんよ」。
以後、その若い先生は、この言葉を座右の銘とし、自信を取り戻して教職に励んだということです。